なにたべた?

なにたべた?

なにたべた?

詩人・伊藤比呂美と、料理研究家枝元なほみ二人が「なにたべた」的状況についてFAXでやりとりしたもの。食べることが、料理することが、生きることに、愛することに、どう関わってくるのか。色々考えさせられる一冊。
ひろみさんの方は、もう、ぐちゃぐちゃ。男のことも家庭のことも。それがみんな「食べること」にあらわれてしまう。カタイ言葉で言えば、摂食障害。チョコレートクリームとか、きなことか、はちみつとか、そのまま、べろべろもそもそ食べてしまう。でも、それはわかりやすいけど、本質的なことじゃない。普通の食事をしていても、それが手作りでも外食でもレトルトでも、摂食障害が出てこなくなってからも、家庭が上手くいき始めても、ぐちゃぐちゃな感じは消えない。食べることが、生きることと深く結びつきすぎている。たべることから自由じゃない。それは不幸なのか、それとも幸福なのか。
なほみさんは、ひろみさんと逆、なのかどうなのか。大好きな料理がいつの間にか仕事になって、それも店のコックとかじゃなくて家庭料理の研究家というなんだか曖昧な。そのせいか、料理・食事がみんなどこかオオヤケのものになってしまう。それがすこし悲しい。でも、その代わり、素材との対話があり、レシピのひらめきがある。たとえばこんな。

今日のレシピは、人参の千切りと炒り卵とカッテージチーズのサラダとか、キャベツときゅうりとみょうがの塩もみとか。みょうがはちょっと塩になじむとぽおっと色が濃くなるし、キャベツはレンジにかけると内側からの熱でぱあっと鮮やかになってる。茄子もさ、レンジにかけて酢がちょっと入ったドレッシングであえて少しすると、思い出したように紫色が立ち上がる瞬間があってね、おおっ、話しかけられてるってかんじになるのよ。

もっといろいろあります。読んで見ましょう。そして作ってみましょう。レシピ載ってるので。