言葉はEurekaに遠し

A Ghost Is Born

A Ghost Is Born

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

ジョアン 声とギター

ジョアン 声とギター

ユリイカ

ユリイカ

ささやかな悪意を感じさせる友沢ミミヨのイラストとは裏腹に、このアルバムは優しい音に満ちている。一曲目の終盤に向かって、音は増殖を続け、同様の旋律が幾度も繰り返される。次々と生まれてくる音は、輪郭と手触りを失うことはなく、旋律の連続は永遠を錯覚させる。その後しばらくは、音の世界に浸かったまま、現実と隔絶されているのだけど、タイトル曲「Eureka」に至ると、音の世界の終わりを意識させられる。そのイメージは、遠い昔からの約束が果たされたかのように、全てを一瞬のうちに理解し、受け入れ、一人世界から去っていく男の姿だ。

誰か音楽を、あるいは音楽から受けとったものを上手く言葉に翻訳している人を知らないだろうか。ふつうにやると大仰になりすぎていけない。