冷蔵庫の扉は閉めたまま
- 作者: 多和田葉子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/06
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- 作者: 多和田葉子
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2002/06/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 多和田葉子
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 1999/05/01
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多和田葉子の小説は、僕にそういった状態を思い起こさせる。そしてそれが僕にとっての多和田小説の魅力であり、また多和田葉子的なものだと思い始めていた。しかし、今回読んだ「球形時間」においてはそのごく一部にしか、それは感じ取れなかった。僕が、多和田葉子の小説の本質であり、また僕にとっての魅力であったものは、本当は副次的なものに過ぎないのだろうか。次に読んだ「容疑者の夜行列車」は面白かった。でも、その「面白い」原因が、何なのかは判然としない。冒頭に挙げたような、感覚の想起もあるにはあるのだけど、どうもそれだけではないようだし、主な原因であるのかもよくわからない。結局その「わからなさ」、「わからない」まま受け入れることの出来ない「わからなさ」が、僕に多和田葉子の小説を読ませるのだろう。
ところで、最近「他者」として僕に触れてきて、頭の中の声を消してくれたのは冷蔵庫の振動だった。冷蔵庫といえば村上春樹の短編「アイロンのある風景」を思い出すけれど、きっと、ドアさえ開かなければ冷蔵庫は安全なんだ。