よい先生・よい批評家
- 作者: 加藤典洋
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1996/10/08
- メディア: 単行本
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ぼく かえる みつけた。
しみそう。
くさのところへ いきました。
本書の中で紹介されている七歳の男の子の文章。著者はここに、「不完全」の力、「不自由さ」の力、大河を渡る小川のような力を見る。こういった力は、「きれいな日本語」や「美文」に近づくにつれて失われていく。おそらく、その、放っておけば失われていく「原初の言葉」の持つ力に最も意識的で、自らの下に留めようとしたのは詩人たちで、源一郎はその試みを小説というヴィークルで実践しているんじゃないかと思う。
‥‥間違いがあるとしても、やはりその間違いかもも知れない実感に立脚して、考える、なぜなら、そうでないとしたら、書くことに備わる、かけがえのない生の経験の意味は、基盤を失ってしまうから。そんなんだったら、書くことは楽しくも、苦しくもない、ばかばかしい行為になってしまうから‥‥
実感というスタート地点の正しさをゴールの正しさで無き者にしないこと。加藤さんは素敵な批評家だと思う。
マクシム(格率)=自分にだけ適用される行動準則
初めて聞いた。ぼくにはマクシムが必要なんだろうか。